スタジアムの回廊を思わず小走りになりながら目的のゲートを探します。
そしてスタンドへのゲートをくぐった先に現れたピッチは、この季節の天然芝とは信じられないぐらい鮮やかでした。
世界で18スタジアムしかない「FIFAワールドカップ」の決勝戦会場。さらに「FIFAクラブワールドカップ」の決勝戦も4回開催されている日産スタジアム。この世界最高の夢舞台に大道中学の子供たちが連れてきてくれました。
オーロラビジョンで紹介されるスターティングイレブン、そしてリザーブの選手たち。
国際Aマッチで流れるあの「FIFA ANTHEM」での入場に弥が上にも期待感が膨らみます。
http://www.soccer-song.com/official/fifa-anthem.html
相手は県大会での優勝校。本大会でも決勝トーナメント3試合で得点15失点2の圧倒的な強さで勝ち上がっています。この強豪校に同じく3試合で得点6失点3の大道中学が挑みました。
メインスタンドへの挨拶と両チームの選手たちの握手、そして自陣中央で円陣が組まれます。
「声出していこうぜ!」
「集中していこうぜ!」
「絶対勝とうぜ!」
もうすっかり声変わりした子供たちの掛け声がスタジアムに響きわたりました。
平成26年2月22日午前10時00分、「第16回日産スタジアム杯少年サッカー大会U-14」ファイナル、キックオフです。
前半、ボールポゼッションは半分以上相手チーム。ほとんどの時間、攻め込まれます。しかし4バックが崩れません。中盤も豊富な運動量でよく戻っています。
後半、今までにない相手のスピードに翻弄されながらも、中盤が高い位置でカットしたボールを強いプレッシャの中、必死にキープしながら確実につなぎサイドに大きく散らします。数少ないチャンスにタッチライン際を突破しそのまま切れ込みミドルシュート。ゴールネットは揺らせませんでしたがシュートまで持っていけました。
「県大会の優勝校だけどやれない相手ではない。」試合前に顧問の先生が言われたとおり、後半はほぼ互角の戦いです。
後半7分、スピードに勝る相手についに失点。
でも10分、すぐに追いつきました。
オーロラビジョンに繰り返しリプレイされる得点シーン。
スタンドは大歓声。今日は、保護者はもとより他の先生方や同級生、先輩部員、その他たくさんの方が応援にきてくれています。
そして小学生の頃にずっと指導してくださったアローズのコーチ陣、さらにアローズで同じ時間を過ごしたHRK、KIC、SHTが活躍する六浦中学のサッカー部が全員で駆けつけてくれました。
相手の早いパスワークにも確実にカバーしていきます。シュートコースを塞ぎ、わずかに残ったシュートコースの先ではゴールキーパーが待ち構えます。幾度となく打たれるシュートもほとんど正面でキャッチできました。
また上がり気味のサイドバックを確認し、センターバックの二人が一瞬のアイコンタクトで最終ラインを押し上げます。その直後、取り残されたFWへのスルーパスにタッチジャッジのオフサイドフラッグ。
DFの醍醐味ですね。
そしてピンチをしのいだ後のお互いこぶしをぶつける控えめなロータッチ。
得点時のような派手さはありませんが、いつ見てもいいシーンです。
前半0-0、後半1-1。10分間のインターバルの後、前後半5分ずつの延長戦が始まりました。
チーム力を落とすことなく次々とフレッシュな戦力を供給してくる強豪校。前後半、また延長戦を通してほぼすべての選手が交代してきます。
それに対してまったく余裕のない大道中学。でもベンチには信頼できる仲間がいます。だから最初から全力で戦えました。限界まできたらいつでも交替できます。
延長前半4分、失点。
60分間以上全力で走り、また慣れない天然芝でいつも以上に消耗する体力。豊富な運動量を保っていた中盤がもう戻れなくなりました。
「大道、がんばれ~~!」
スタンドからの声援にわずかに反応する選手たち。足は止まりかけても気力だけは残っています。
後半3分、失点。
その後はあっという間に時間が過ぎ、残念ながらノーサイド。
スタンドに挨拶に来る選手たち。悔しさで顔を上げられません、涙ぐんでいる子もいます。
「よく頑張ったよ~~!」
スタンドの大応援団から惜しみない拍手が送られます。
立派な、そして堂々たる準優勝でした。
表彰式、メダルを掛けてもらうとさすがに嬉しそう、最後の記念撮影も笑顔でできました。
アローズでは主学年でのメダルが一つもなかった子どもたち。今日、初めて自分たちの力で獲得しました。RJ、TKS、SNT、SHO、RH、MSK、おめでとう!
そして大道中学サッカー部、よく頑張りました!
皆さんのおかげで夢のような時間を過ごせました。
本当にありがとう!